AI創作はこれからどのように発展していくのか。クリエイターの皆さんであれば誰もが気になる部分かと思います。今回はAI創作の今後の発展について、3分野から考えます。ビジネス面、倫理面、文化面で徹底して調査した内容になります。
今回は「ビジネス面」について掘り下げていきます。

ビジネス面
市場規模と成長率
生成AI(AI創作)の市場は近年爆発的に拡大しています。世界の生成AI市場規模は2024年に約209億米ドル(約3兆円)に達しました。2030年まで年平均成長率約37%で拡大します。2030年には1,367億米ドル規模に達する見通しです。別の分析でも、2024年の市場は250億米ドル超となっています。2024年から2030年に40~50%の年率で成長するとされています。
日本でも生成AI市場は急拡大中です。2024年に初めて1,000億円規模(約1,016億円)を突破しました。また、2023~2028年のCAGRが84.4%と予測されています。2028年には約8,028億円に達すると見込まれています。このように世界的ブームとなった 生成AI市場 は今後も高成長が予想されています。
主要な収益モデル
AI創作サービスの収益モデルは大きく3つに分けられます。サブスクリプション、従量課金(利用量に応じた料金)、ライセンス提供などに分類できます。実際、生成AI系スタートアップの約29%が定額サブスクリプション型です。次に、19%が完全な従量課金型です。そして、残り約52%が両者を組み合わせたハイブリッド型の料金モデルを採用しています。
例えば、画像生成AIのMidjourneyは月額課金プランを提供しています。同時に、高速生成や同時実行ジョブ数に応じたプランや追加購入も導入しています。ChatGPTも月額サブスクリプションモデルです。動画生成AIのSoraも課金ユーザーのみ使用可能になっています。
一方、API経由での利用(例:OpenAIの GPT API)は異なっています。生成リクエスト数やトークン数に応じた従量課金となっています。また、広告モデルやフリーミアムを取るサービスもあります。コンテンツ分野では、AI生成コンテンツのライセンス販売があります。あるいは、生成モデルそのもののライセンス提供で収益化するケースも増えています。
主要プレイヤーと競争状況
生成AI分野では、大手テック企業と新興企業が激しい競争を繰り広げています。テキスト生成分野では OpenAI が先行しています。Microsoftが巨額出資と提携によってOpenAIの技術を自社Azureクラウドに組み込みリードしています。Googleも独自の大規模言語モデル( PaLM や Bard )や画像生成モデル( Imagen 等)を開発しています。クラウドサービス( Vertex AI)で提供を進めています。Meta(旧Facebook)はオープンソースの大規模モデル LLaMA を公開しています。これにより、コミュニティ主導の発展を促しています。
画像生成では Midjourney や Stability AI といった新興企業が台頭しました。Adobeの Firefly のように既存クリエイティブソフト大手も生成AI機能を搭載して参入しています。さらにAnthropic( Claude )、Cohere、AI21 Labsなど多くのスタートアップが言語モデル競争に参入しています。NVIDIAなど半導体企業も生成AI需要増に伴い重要な基盤となっています。
このように「基盤モデルを提供する巨大企業 vs. 尖った技術を持つスタートアップ」という構図です。競争が加速しており、提携や買収も活発です。クラウド基盤ではMicrosoftやAWSがモデル提供プラットフォームで先行しています。サービス開発ではコンサル大手(AccentureやDeloitte)も企業向け生成AIサービス市場を牽引しています。
成功事例やマネタイズ戦略
生成AIブームでマネタイズに成功した例も数多く報告されています。例えば ChatGPT は公開からわずか2ヶ月で1億人のユーザーを獲得しました。有料版の加入者やAPI利用料によって短期間で多大な収益を上げています。画像生成AIのMidjourney はマーケティング費用ゼロにもかかわらず最初の1年で約5,000万ドル収益を上げました。翌年には1億~1億5,000万ドル規模の収益を上げたとされています。わずか数十名のチームによるサブスクリプション型サービスで高収益を達成した成功例です。
また、ストックフォト大手のShutterstockはAI画像生成を自社サービスに組み込んでいます。「コンテンツ提供者に対する補償基金」を創設います。学習データ提供に貢献したクリエイターに報酬を支払うモデルなのです。これにより新技術への懸念を和らげています。同時に自社プラットフォーム上でAI生成コンテンツを販売・ライセンスし収益化しています。
コンテンツ分野では、AIによる出版物・商品も登場しています。例えば2023年には世界初の全編AI作画による商業漫画が発表されました。『サイバーパンク桃太郎』です。このようにAI創作物そのものを商品化したり、AIを用いて従来より高速かつ低コストでコンテンツ制作・サービス提供を行うビジネスモデルが多数生まれています。今後も生成AIを活用した新サービスの創出は増えると考えられます。既存ビジネスへの組み込みによる付加価値向上など、マネタイズの手法は多様化していくでしょう。
いかがでしたか?明日は「倫理・法律面」からAI創作を紐解いていきます。お楽しみに。