こんにちは。Udemyで動画生成AI部門のベストセラー講師を務めております、ReeXです。
近年、ChatGPTや画像・動画生成AIの進化は凄まじく、「AIは万能だ」と感じている方も多いかもしれません。しかし、AIは魔法の杖ではありません。AIには明確に「できること(得意分野)」と「できないこと(苦手分野)」が存在します。
この区別を理解せずにAIを使うと、間違った情報に振り回されたり、期待した成果が得られなかったりします。
AIが私たちの生活や仕事に急速に浸透する今、AIに「できること」と「できないこと」を正しく見極め、賢く活用するスキルが不可欠です。
この記事では、AI講師としての私の経験も踏まえ、AIのできること・できないことを徹底的に解説します。
生成AIとは? 得意・不得意の全体像
「生成AI(Generative AI)」は、大量のデータを学習し、そのパターンに基づいて新しいコンテンツ(文章、画像、音声、コードなど)を生成する技術です。
まずは、この生成AIが持つ大まかな得意・不得意を見てみましょう。
生成AIが得意なこと:「創造」と「効率化」
AIは、学習したデータに基づいた「創造的なタスク」や、作業を高速化する「効率化」を非常に得意としています。パターン化できる作業や、既存の知識を組み合わせる作業では、人間を凌駕するスピードと量を発揮します。
生成AIが苦手なこと:「正確性」と「倫理的判断」
一方で、AIは「事実の正確性」の担保や、「倫理的な判断」が苦手です。AIは学習データにない最新の情報を知らなかったり、平気で嘘(ハルシネーション)をついたりします。また、何が道徳的に正しいか、法的に問題ないかという責任ある判断はできません。
AIに「できること」- 得意分野と活用メリット4選
では、具体的にAIに「できること」は何か? 私がUdemy講座でも強調している、ビジネスで特に役立つ4つの得意分野を紹介します。

1. コンテンツの大量かつ高速な生成
AIの最も分かりやすい能力は、コンテンツ生成のスピードと量です。人間が数時間かかる作業を、AIは数十秒でこなします。
これまで「量」と「時間」が比例していた作業を、AIが肩代わりしてくれるのです。
2. 業務の圧倒的な効率化・自動化
日常の定型業務や面倒な作業の自動化も、AIのできることの代表例です。
これらの作業をAIに任せることで、人間はより創造的で重要な仕事に集中できます。
3. アイデア出しの「壁打ち」相手
AIは、24時間365日文句も言わずに付き合ってくれる、優秀なブレインストーミングのパートナーになります。
ただし、講師としての私の体感では、AIとの壁打ちで「思考を整理する」ことは非常に得意ですが、ゼロから「あっと驚くような画期的なアイデア」を生み出すのは、まだ人間同士の議論に軍配が上がると感じています。
4. 高度な多言語対応(翻訳・要約)
AI、特に大規模言語モデル(LLM)は、高度な言語処理能力を持っています。
これにより、言語の壁はほぼなくなり、世界中の情報に国内情報と同じようにアクセスできるようになりました。
AIに「できないこと」- 苦手分野と注意点4選
AIは非常に強力ですが、万能ではありません。次に、AIに「できないこと」、つまりAIに任せてはいけない苦手分野と、活用時の注意点を解説します。
1. 事実の正確性担保と最新情報のリアルタイムな反映
AIが「できないこと」の筆頭がこれです。AIは学習したデータに基づいて回答を生成するため、以下の弱点があります。
AIの回答は、必ず「裏付け(ファクトチェック)」が必要です。
2. 倫理的・法的な「最終判断」
AIは倫理観や道徳観を持っていません。そのため、法律、医療、財務、人命に関わるような、専門的な知識と「責任」を伴う判断はできません。
AIに「この記事は法的に問題ないか?」と聞いても、一般的な回答はできても、最終的な責任は取ってくれません。AIの出力を鵜呑みにし、専門家(人間)の確認を怠ると、重大な問題に発展する可能性があります。
3. 抽象的な指示の完全な意図理解
AIは、指示(プロンプト)が曖昧だと、私たちの意図を正確に読み取ることができません。
このような抽象的な指示では、AIは「平均的」で「無難」なものしか生成できません。AIに「できないこと」は、私たちの頭の中にあるフワッとしたイメージを具体化することです。私たちが意図を明確に言語化し、具体的に指示する必要があります。
4. ゼロからの完全な創造と感情の理解
AIは「創造的」なタスクが得意だと述べましたが、それは「既存のデータの組み合わせやパターンの延長」です。AIは、学習データに全く存在しない、0から1を生み出す「真の創造」はできません。
また、AIは人間の持つ深い感情、文化的背景、微妙なニュアンスを真に理解することはできません。文章の「行間」を読むような高度な共感は、AIには「できないこと」の領域です。
AIの「できないこと」を踏まえた活用時の重要ポイント
AIの「できないこと」を理解した上で、私たちがAI活用時に絶対に行うべき重要なポイントを2つ紹介します。
必須事項:必ず「人間のチェック」を入れる
AIは優秀なアシスタントですが、出力結果をそのまま公開・提出するのは非常に危険です。AIの「できないこと」を補うため、必ず以下の点について「人間の目」でチェックしてください。
- 虚偽の内容(ハルシネーション)はないか?
 - 知的財産権(著作権など)を侵害していないか?
 - プライバシーや個人情報を漏洩させていないか?
 - 偏見や差別的な表現が含まれていないか?
 
特にAIガバナンス(AIを適切に管理・運用する体制)は、企業にとって重要な経営課題となっています。信頼できる情報源として、総務省が公開している「AI利活用ガイドライン」(外部リンク)なども参考に、AIの出力を管理する体制を整えることが重要です。
E-E-A-T(専門性・信頼性)の担保
E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)は、コンテンツの品質を担保する上で非常に重要な概念です。AIが生成しただけの記事は、このE-E-A-Tが欠如しています。
AIに下書きをさせたとしても、必ずあなた自身の「経験(Experience)」や「専門知識(Expertise)」を加え、内容をブラッシュアップし、信頼できる(Trustworthiness)情報として完成させる必要があります。
AIと人間の未来:「仕事を奪われる」のではなく「使いこなす」時代へ
AIの「できること」が拡大するにつれ、「AIに仕事を奪われる」という不安を耳にします。確かに、データ入力や定型的な事務作業など、AIの得意分野と重なる仕事は、AIに代替されていく可能性が高いでしょう。
しかし、私は「仕事を奪われる」と考えるべきではない、と強く主張しています。
AIの「できること」が増えるということは、私たち人間の「生産性を拡張できる」ということです。 これまで100の仕事しかできなかった人が、AIを使うことで200、300の仕事ができるようになります。
重要なのは、AIに「できないこと」すなわち、最終的な判断、責任、倫理観、そして独自の経験に基づく創造性を人間が担い、AIを「優秀な部下」や「アシスタント」として使いこなすことです。
AIができること・できないことを理解し、AIを使いこなすスキルこそが、これからの時代を生き抜く鍵となります。
まとめ:AIのできること・できないことを理解し、最強のアシスタントに育てよう
今回は、AIに「できること(得意分野)」と「できないこと(苦手分野)」について、Udemy講師の視点から解説しました。
▼ AIにできること(得意分野)
- コンテンツの大量高速生成
 - 業務の効率化・自動化
 - アイデア出しの壁打ち
 - 高度な多言語対応
 
▼ AIにできないこと(苦手分野)
- 事実の正確性担保・最新情報
 - 倫理的・法的な最終判断
 - 抽象的な指示の意図理解
 - ゼロからの創造と感情の理解
 
AIは万能ではありませんが、その特性を正しく理解し、人間のチェックと判断を加えることで、これ以上ないほど強力な「アシスタント」となります。
AIに「できないこと」は、人間に残された価値ある仕事です。AIの活用スキルを身につけ、ご自身の可能性を広げていきましょう。
  
  
  
  
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